公益法人にとって、かなり厳しい新行革担当大臣の誕生!
2007年1月6日

非営利法人総合研究所(NPO総研)
主席研究員 福島 達也

 すったもんだの末、突然の交代劇で就任したのは渡辺喜美氏だった。父は「ミッチー」の愛称で親しまれた故渡辺美智雄元副総理・外相。サラブレットの感もあるが、97年から98年にかけての金融危機の際には、銀行への公的資金投入を可能にする法案のとりまとめに活躍した、いわば「政策新人類」だ。

 自民党の加藤紘一元幹事長らが森内閣の不信任決議案に同調しようとした00年には、森首相に公然と退陣を要求し、森首相を支える派閥体制を批判。自分の父親が領袖だった「渡辺派」の系譜に連なる江藤・亀井派(当時)を離れるなど、思い切った行動を見せた人物である。

 しかも、塩崎官房長官や根本匠首相補佐官とは「四騎の会」をつくるほど仲がよいので、思い切ったことをやるには十分すぎるほどの土壌でもある。

 担当する行革分野は、すべて既成の権益に踏み込むため、利害対立の激しいホットな任務となる。相当な実力と行動力がないと勤まらない。そういう意味では適任かもしれない。

 さて、公益法人関係者が最も気になるのは、渡辺喜美行政改革担当相がどういうスタンスで仕事をするかであろう。

 彼は就任してすぐに、直近の通常国会に法案提出を目指している公務員の天下り規制強化策に関し「1月中か遅くとも2月初めには経済財政諮問会議に報告する」と述べ、法案の概要を固める考えを示した。さらに、渡辺氏は安倍晋三首相が掲げる、天下りの見返りに契約などで便宜を図る「押し付け型天下りの根絶」に向け、「どこまでが押し付けに当たるのか、具体化していく必要がある」と指摘している。また、経済財政諮問会議の民間議員が提言した「省庁の天下りあっせん全面禁止」についても「将来の方向性として視野に入れていく」と述べ、当面の規制強化策と分けて検討する姿勢を強調したのである。

 このようなことから、渡辺氏は公益法人改革でも、天下りを根絶させる立場を貫くものと思われ、官製公益法人の公益認定(公益社団・財団法人への関門)に対しては、かなり厳しいスタンスを置くものと見られている。

 もちろん、公益認定に対して大臣が判断するということにはならないが、公益認定にとって最重要とも言われている今後の政省令の内容については、相当な影響を及ぼすであろうから、現行の公益法人にとってこの交代劇は、あまり歓迎されるものではなさそうである。

 渡辺氏の辛口の意見がいつ飛び出すか、その内容次第では、流れが一気に急変する可能性もある。今後の動きに注目したい。


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